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猫エイズと猫免疫不全ウイルス ~猫の病気・けが症状別対処法~

投稿日:2016年12月31日 更新日:

 

猫にも、人間のエイズと似た病気として『猫免疫不全ウイルス感染症』があります。 

別名『猫エイズ』とも呼ばれています。

 

この感染症は、ネコ科動物が誕生した頃には既に存在はしていました。

1986年にアメリカで初めて病気として発表され、今では日本に限らず世界中の家猫に確認されています。

世界の中でも日本における感染率は特に高く、猫全体の10%以上にもなります。

つまり、少なくとも10頭に1頭は感染しているということです。

 

感染してから発症するまでに長い年月がかかることが多く、一生発症しないケースもあります。

発症してしまうと根本的な治療法がなく、死を免れることは困難になります。

 

他の主要な感染症と大きく違うのは、現在の日本ではワクチンでの予防ができないということです。

一度は日本でも2008年にワクチンが販売されましたが、2012年に販売中止になりました。

 

では、この『猫免疫不全ウイルス感染症』とは具体的にどういった感染症なのか、解説していきます。

 

 

猫免疫不全ウイルス感染症とは

レトロウイルスに属している猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染することで発症します。

感染力の弱いウイルスで空気感染をしないため、それほど容易に感染することはありません。

 

ウイルスは唾液に多く含まれていて、感染している猫とのケンカによるかみ傷から感染することがほとんどです。

交尾や母猫から子猫に感染するケースもありますが、ケンカと比べるとそれほど多くありません。

猫白血病ウイルス感染症と違って、感染している猫とのグルーミングや同じ食器の共有などで感染するケースは滅多にありません。

 

ケンカによる感染が多いためオス猫の感染率は高く、メス猫の2倍以上になります。

 

一度感染すると、このウイルスが体内からなくなることはありません。

しかし、猫の体外では不安定で、あまり外部環境に強くありません。

熱や消毒剤、太陽光線で簡単に感染力を失います。

ウイルスの消毒には、アルコールなどの一般的な消毒薬で十分に効果があります。

 

このウイルスは、人間のエイズウイルス(HIV)の仲間ではありますが違うウイルスなので、人間や犬などといったネコ科以外の動物には感染しません。

 

 

診断

血液を少量採取し、専用の検査キットを使用すると10分ほどで結果が分かります。

FeLV/FIV検査キット

「スナップ・FeLV/FIV コンボ」検査キット

引用元:南大阪動物医療センター

 

ただし、この検査はウイルス自体を検出する抗原検査ではなく、感染したウイルスに対して体内にできた抗体を検出する検査なので、注意が必要です。

2ヵ月以上他の猫と接触のない完全室内飼いの成猫であれば1回の検査結果で判断できますが、以下に該当する場合には、正しい判断ができません。

◆実際は感染していても「陰性」という結果が出る場合 

 ・感染してから間もない感染初期の猫

  感染してから早くて2週間、最大で2ヵ月は経過しないと抗体が検出されないので、それまでは検査で陽性になりません。2ヵ月後に再検査をしたほうがいいでしょう。

 ・末期のエイズ期で、免疫不全状態の猫

◆実際は感染していなくても「陽性」という結果が出る場合

 ・一時期販売されていた猫エイズワクチンを接種している猫

  近年では、外部に委託すればウイルスの抗原検査が可能なので、陽性という結果がワクチンによるものかどうか判別できます。ワクチン接種をしたかどうか不明な場合には、一度抗原検査を受けてみましょう。

 ・生後6ヵ月齢以下の子猫

  感染している母猫から移行した抗体を持っている可能性があるため、1歳前後で再検査が必要です。

FIV猫エイズ 診断フローチャート

引用元:高円寺アニマルクリニック

 

今は室内で飼っていて他の猫と接触したことがなかったとしても、以前外にいたことがあればその時に感染している可能性や、母猫から感染している可能性も考えられます。

生後2ヵ月を過ぎたら、一度は簡易キットによる検査をしましょう。

 

猫を引き取る前に、既に検査が済んでいることも多いと思います。

同居する猫がいる場合や外に出ることがある場合には特にですが、念のため引き取ってからもう一度検査をして問題ないことを確認してから、他の猫と接触させましょう。

引き取る時には、検査を実施した日付を正確に確認しておきましょう。

 

 

症状

この感染症にはいくつかの段階があり、その段階によって症状が変わります。

 

第1ステージ: 急性期

感染してから4~6週間ほどすると、活発に活動し始めたウイルスが猫の免疫と激しい闘いを繰り広げます。

それに伴って、猫の中には急に体調を崩しだし、風邪のような症状を引き起こすことがあります。

具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 熱が出る
  • 下痢をする
  • リンパ節が腫れる
  • 鼻水が出る
  • 白血球が減少する
  • 貧血を起こす(耳や鼻が白い)

これらの症状は一過性で比較的軽いものですが、数週間から数ヵ月、長ければ1年ほどに渡ってダラダラと続きます。

 

第2ステージ: 無症状キャリアー期

急性期に見られていた症状はおさまり、表面的には健康に見える状態になります。

しかし実際はウイルスがいなくなったわけではなく、リンパ球の中に潜んで少しずつ免疫機能を破壊しています。

そして、唾液や血液にはウイルスが排出されていて、他の猫への感染源になっています。

 

この状態は平均で2~4年、場合によっては10年以上続きます。

そのため、この無症状キャリアー期が寿命よりも長い場合には、発症しないまま一生を終えることもあります。

 

第3ステージ: 持続性リンパ節腫大期

全身のリンパ節の腫れがみられるようになります。

ただ、この期間は短く、その後明らかに発症したと分かる状態になっていくため、認識するのは難しいかもしれません。

 

第4ステージ: エイズ関連症候群期

この時期になると、免疫力の低下から慢性的に様々な症状を引き起こすようになります。

これらの症状は『エイズ関連症候群』と言われ、具体的には以下のようなものがあります。

  • 口内炎や歯肉炎になる
  • 口臭やよだれが出る
  • 食欲がなくなり、体重が減少する
  • 下痢をする
  • 熱が出る
  • リンパ節が腫れる
  • 鼻炎になる(鼻水が出る)
  • 結膜炎になる(目ヤニが出る)
  • 外耳炎になる
  • 皮膚炎になる
  • 傷が治りにくくなったり、化膿したりする
  • 貧血を起こす(耳や鼻が白い)

この中でも口内炎や歯肉炎といった口腔疾患は、半数の猫に見られる特徴的な症状です。

 

これらの症状は、最初は軽かったものも次第に重くなっていき、1年ほどで次のステージへ進むことになります。

この時期の猫の年齢は、平均して5歳ほどです。

 

第5ステージ: エイズ期(後天性免疫不全症候群期)

『エイズ関連症候群』からさらに症状が悪化し、免疫機能が麻痺してしまう時期です。

免疫不全から以下の症状があらわれます。

  • 日和見感染(本来健康であれば特に問題ない細菌やウイルス等が原因で、非常に重い症状を出す感染症)
  • 悪性腫瘍
  • 貧血
  • 白血球減少
  • 神経症状(脳炎)
  • 肺炎

 

こうして、最終的には極度に痩せ細り衰弱して、数ヵ月ほどで死に至ります。

 

 

治療方法

ウイルス自体を撃退する根本的な治療法はありません。

一度感染すると完治することはありませんが、発症を遅らせることは可能だと考えられています。

 

そのためには、飼い主さんの協力が不可欠です。

以下のことを心がけましょう。

  • 免疫力の低下を防ぐためにも他の動物との接触を避け、できるだけストレスをかけずに家の中で安心して生活できる環境を整えます。
  • 栄養バランスのとれた食事を与えます。
  • 健康管理をしっかり行い、さらに別のウイルスに感染する混合感染や他の病気にかからないよう細心の注意を払います。
  • 同居している他の猫に感染しないよう、感染した猫を室内で隔離します。
  • 人間を介して感染を広げないために、感染した猫を触った後は石鹸やアルコールでよく手を洗います。
  • 何かしらの体調の変化に気づいたら、すぐに動物病院で診察してもらいましょう

 

また、エイズ期にまで到達していなければ、症状に応じて適切な対症療法を行うことで改善は見込めます。

動物病院で行われる具体的な対症療法としては、インターフェロンやサプリメントの投与、輸液や栄養補給、抗生剤や抗炎症剤の使用などです。

こうした治療により、免疫力の低下を防ぐとともに生活の質改善が期待できます。

 

また無症状キャリアー期では、目に見えない変化や進行がないかチェックするためにも、3~4ヵ月毎に身体検査と血液検査を受けるようにしましょう。 

 

 

予防方法

◆完全な室内飼い

ウイルスに感染した猫と接触する機会をなくすことが、一番の予防になります。

外に出さず室内で飼うことが、猫を危険から守ることになります。

 

◆去勢手術や避妊手術を受ける

猫同士のケンカによる感染が多いため、去勢手術や避妊手術をすることも予防として効果的です。

去勢手術や避妊手術をしている猫は、手術をしていない猫よりもウイルスの感染率が明らかに低くなります。

 

この感染症に対するワクチンはなくても、感染を防ぐために飼い主さんができることはあります。

発症を遅らせることよりも、まずは感染を防ぐことを第一に考えましょう。

 

 

 

 

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