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ネコの命を奪う恐ろしい病気『猫白血病ウイルス感染症』

投稿日:2016年12月19日 更新日:

 

ネコの病気の中で、発症するとほとんど助からない恐ろしい感染症があることをご存知でしょうか?

『猫白血病ウイルス感染症』と言います。

我が家のミックも陽性でした。。。

 

白血病という言葉は含まれていますが、必ずしも白血病を発症するわけではありません。

この感染症になった猫のうち、血液の腫瘍・癌と言われる白血病やリンパ腫にかかるのは20~30%にすぎません。

このウイルスに感染すると、免疫を作るリンパ球が侵され免疫不全に陥るため、白血病などの普段はかからないような様々な病気を併発するようになります。

そして、このウイルスに感染し発症した猫は、感染から3年半で80%以上が死亡します。

 

では、この死亡率の高い『猫白血病ウイルス感染症』とはどういった感染症なのか、より詳しく解説していきます。

 

 

猫白血病ウイルス感染症とは

レトロウイルスの一種であるオンコウイルスに感染することで発症する感染症です。

感染力の弱いウイルスなので、すれ違ったくらいで感染することはありません。

 

血液・唾液・涙・乳汁・尿を通じて感染しますが、特に唾液に多くウイルスが含まれています。

感染している猫とのグルーミングやケンカ、同じ食器の共有、交尾などにより感染します。

グルーミングや食器の共有では、長期的に濃厚な接触がなければ感染には至りません。

 

一方、ケンカなどでのかみ傷からウイルスが侵入した場合には、かなり高い確率で感染します。

そのため、このウイルスに最も高い確率で感染しているのが、よくケンカをする去勢していないオス猫です。

このウイルスに感染して発症した猫のうち、オス猫は全体の60~70%を占め、メス猫の1.7倍にもなります。

 

母猫が感染している場合には胎盤や母乳から子猫に感染し(垂直感染)、流産や死産、生まれたとしても早々に死んでしまう子猫衰弱症候群になることが多いです。

生まれてから母猫が子猫を舐めることで感染する可能性もあり、感染した母猫から生まれた子猫は、死なずにすんだとしても感染は免れません。

 

また、このウイルスは猫の体外では不安定で、あまり外部環境に強くありません。

熱や消毒剤、太陽光線で簡単に感染力を失います。

ウイルスの消毒には、アルコールなどの一般的な消毒薬や熱湯消毒でも十分に効果があります。

 

このウイルスは、猫にしか感染しません。

遺伝子を調べたところ、ネズミの白血病ウイルスと共通する遺伝子を持っていることが分かっています。

これは、100万年以上前にネズミから猫に感染し、その後猫独自のウイルスに変化したためと考えられています。

 

このウイルスへの感染は、日本に限らず世界中の家猫に確認されています。

日本におけるネコ白血病ウイルスの保有率は先進国のなかでも高く、猫全体の3~5%、病気の猫に限れば約15~20%にものぼるという統計があります。

 

 

診断

猫白血病ウイルス感染症に感染しているかは、血液中のウイルスを検出できる簡易検査キットを使って診断できます。

 

FeLV検査キット

「スナップ・FeLV/FIV コンボ」検査キット

引用元:南大阪動物医療センター

 

3滴程度の血液で抗原検査ができ、10分ほどで結果が分かります。

 

感染してから、ウイルス血症(ウイルスの蛋白が存在する状態)が血液中に現れるまでに2~4週間はかかるので、それまでは検査で陽性になりません。

そのため、2ヵ月以上他の猫と接触のない完全室内飼いの成猫であれば1回の検査で判断できますが、生後6ヵ月齢以下の子猫や飼い始めたばかりの猫、外に出ている猫の場合には、正しい判断ができません。1ヵ月後に再検査をしたほうがいいでしょう。

また、1度検査で陽性になったとしてもその後陰性になる(陰転)ことがあるので、4ヵ月後にもう一度検査を行う必要があります。

 

FeLV 診断フローチャート

引用元:高円寺アニマルクリニック

 

今は室内で飼っていて他の猫と接触したことがなかったとしても、以前外にいたことがあればその時に感染している可能性や、母猫から感染している可能性も考えられます。

生後2ヵ月を過ぎたら、一度は簡易キットによる検査をしましょう。

 

猫を引き取る前に、既に検査が済んでいることも多いと思います。

同居する猫がいる場合や外に出ることがある場合には特にですが、念のため引き取ってからもう一度検査をして問題ないことを確認してから、他の猫と接触させましょう。

引き取る時には、検査を実施した日付を正確に確認しておきましょう。

 

 

症状

この感染症には特有の症状といったものはなく、感染の段階によっても症状が変わります。 

 

急性期

口や鼻から侵入したウイルスは、感染から1ヵ月前後で骨髄にまで到達し、その細胞内で増殖しようとします。

すると、ウイルスに対する猫の免疫が高まり、ウイルスが増殖してしまった骨髄の細胞を破壊しようとします。

 

こうしてウイルス血症に至り、他の感染症と似たような症状がみられるようになります。

  • 食欲がなくなる
  • 体重が減少する
  • 下痢をする
  • 熱が出る
  • 脱水症状を起こす
  • 貧血を起こす(耳や鼻が白い)
  • 結膜炎になる
  • 口内炎になる
  • リンパ節が腫れる
  • 血小板減少により血が止まりにくくなる
  • 白血球が減少する

 

年齢が若いほど発症しやすく、この時点で死亡してしまう可能性が高くなります。

また、この症状がひどいほど、持続感染になりやすいと言われています。

 

一方で、この急性期の症状に耐え、ウイルスが排除されることもよくあります。

その場合には、感染から4ヵ月以内にウイルス検査は陰性になり(陰転)、二度とこのウイルスに感染することはなくなります。

ただ、一度は細胞の中にウイルスが入り込んだため、感染したことのない猫に比べてリンパ系のがんにかかるリスクは高くなります。

 

また陰転してもしばらくの間は、骨髄にわずかながらウイルスが居続けます。

そのため、メス猫はその後1年程度、妊娠は避けたほうがいいです。

妊娠の影響で免疫が低下すると、ウイルスが活性化してしまう可能性があります。

 

4ヵ月たってもまだウイルス検査が陽性の場合には,持続感染になったと考えられます。

 

陰転になるか持続感染になるかは、感染した時点での猫の年齢と深い関係があります。

新生猫は70~100%が持続感染になりますが、8~12週齢で30~50%、16週齢以上の成猫では10~20%しか持続感染になりません。

 

 

持続感染期

持続感染になると、一生ウイルスを持ち続け、常にウイルスが体内のどこかで増えている状態になります。

 

急性期の症状は一旦治まりますが、これは免疫がウイルスに感染した細胞を攻撃しなくなるためです。

そのため、ウイルスは骨髄の細胞に持続的に感染していきます。

その後、発症するまでの数ヵ月から数年は、表面的に健康に見える状態が続きます。

しかし実際は、ウイルスが唾液などに沢山含まれていて、他の猫への感染源になっています。

 

持続感染になってから再びウイルスが活性化すると、リンパ腫、リンパ球性白血病、白血球減少症、再生不良性貧血といった病気を発症します。

 

また、ウイルスが直接関与する疾患だけでなく、免疫が弱まることにより様々な病気を発症しやすくなります。

免疫不全や免疫異常による二次感染としては、以下の病気があります。

  • 猫ヘモバルトネラ症
  • 猫伝染性腹膜炎
  • トキソプラズマ症
  • クリプトコッカス症
  • 慢性口内炎
  • 気道感染症
  • 糸球体腎炎

 

こうして、持続感染になった猫は感染してから2年で63%、3年半で83%が死亡してしまいます。

 

 

治療

猫白血病ウイルス感染症には、根本的な治療法はありません。

症状に応じて対症療法を行います。

 

急性期

免疫を高めウイルスの排除を助けるインターフェロンの投与や、白血球の減少に対する輸血を行います。

 

持続感染期

発症した個々の病気に対応する治療を行います。

  • リンパ腫や白血病には、抗がん剤などの化学療法
  • 細菌感染には、抗生物質の投与
  • 慢性口内炎には、ステロイドなどの抗炎症薬

 

持続感染にはなっても症状が出ていない場合

3~4ヵ月毎に身体検査と血液検査を行うようにしましょう。 

また、可能性はごくわずかですが陰転することもあるので、年に1度はウイルス検査をしましょう。

 

 

飼い主さんにできること

この感染症にかかってしまったら、飼い主さんは以下のことを心がけましょう。

  • 同居している他の猫に感染しないよう、感染した猫を隔離します。
  • 同居している他の猫がワクチンを接種していなければ、すぐにワクチン接種をします。
  • 人間を介して感染を広げないために、感染した猫を触った後は石鹸やアルコールでよく手を洗います。
  • 他の動物との接触を避け、できるだけストレスをかけずに家の中で安心して生活できる環境を整えます。
  • 高品質のたんぱく質やエネルギー源を多く含んだ、栄養バランスのとれた食事を与えます。
  • 体調の変化に注意を払い、何か症状が現れたらすぐに動物病院で診察してもらいましょう。

 

予防方法

完全な室内飼い

ウイルスに感染した猫と接触する機会をなくすことが、一番の予防です。

外に出さず室内で飼うことが、猫を危険から守ることになります。

 

ワクチン接種

外に出ることがあったり、複数の猫を飼っている場合には、ワクチン接種が有効です。

感染する前であれば、猫白血病ウイルス用のワクチンやそれを含む混合ワクチンで予防できます。

 

最初は8週齢以降に2回、その後は年1回接種します。

既に感染している猫にワクチン接種をしても効果はないので、接種する前には必ずウイルス検査をして感染していないことを確認しましょう。

予防効果は100%ではないので、ワクチンを再接種する場合には、ウイルス検査も再度してもらいましょう。

 

白血病ウイルス用のワクチンを接種すると、線維肉腫を誘発するのではないかと心配かもしれません。

これは、免疫促進剤的な役割をもつ『アジュバンド』という成分がワクチンに含まれていることが要因の一つだと考えられています。

ただ、この『アジュバンド』という成分は他のワクチンにも同様に含まれていて、白血病ウイルス用のワクチンに限ったことではありません。

また、ワクチンメーカーの努力もあり線維肉腫の発生率は1~2万分の1ほどで以前より下がっていますし、アジュバンドを使用しないノンアジュバンド・ワクチンも開発されています。

ワクチン接種をしないことによるリスクを考えれば、それほど神経質になる必要はありません。

ただし、毎年ワクチンを同じ場所にうつことも腫瘍化を引き起こす要因と考えられていますので、可能であればワクチンをうつ場所は変えてもらいましょう。

 

去勢手術や避妊手術を受ける

猫同士のケンカによる感染が多いため、去勢手術や避妊手術をすることも予防として効果的です。

去勢手術や避妊手術をしている猫は、手術をしていない猫よりもウイルスの発症率が明らかに低くなっています。

 

抵抗力をつける

ウイルスに負けない抵抗力をつけることも大切です。

猫自身が健康で体力があれば、ウイルスに感染した猫に接触しても感染しにくくなったり、自己免疫力でウイルスを排除したりできます。

そのためには、バランスのとれた食事、ストレスの少ない生活環境、定期的な健康診断を心がけ、健康体を維持しましょう。

 

 

 

 

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