ネコの病気

ネコが異物を飲み込んでしまったら一大事!!時間との勝負です!!

2017年5月24日

 

猫に限らずペットの異物誤飲は、近年非常に増えてきています。

これは、犬を室内で飼うことが多くなった影響が大きいですが、
猫を飼っている飼い主さんにも、猫が危うく異物誤飲しそうになってヒヤッとした経験が一度はあるのではないでしょうか。 

引用元:アニコムホールディングス株式会社

2012年のアニコム損害保険がペット保険契約者に行った調査によれば、
ペットが経験した怪我や事故の中で異物誤飲が最も多く、怪我や事故にあったペットのうち7頭に1頭の割合にもなるそうです。

我が家でも、ジャガーが二度も異物誤飲で動物病院のご厄介になってしまいました…。

ここでは、ペットを飼っている人なら誰でも遭遇しかねない異物誤飲について、詳しく解説していきます。

 

異物誤飲すると

猫が食べ物を食べると、通常は口→食道→胃→小腸→大腸を通過して、肛門から便となって排出されます。

しかし、異物を飲み込んでしまった場合には、以下のいずれかのケースに至ります。

  1. 食道に異物が詰まる
  2. 嘔吐によって異物が口から出てくる
  3. 胃の中に滞留する
  4. 腸で詰まる
  5. 便と一緒に肛門から出てくる

2.や5.のケースであれば問題ありませんが、それ以外のケースでは非常に危険性が高いので、早急に動物病院で取り出してもらう必要があります。

 

誤飲すると危険なもの

 異物誤飲すると危険なもの、誤飲しがちなものには、以下のようなものがあります。

  • 糸や紐状のもの・ヘアゴム・輪ゴム・縫い糸・包装用のリボン
    猫の異物誤飲では、これが圧倒的に多く、かつ厄介なものになります。
    腸まで達してしまうと、腸閉塞や腹膜炎を引き起こすことがあります。
    口や肛門から糸や紐が出ていても、絶対に引っ張ってはいけません。消化器官の粘膜を傷つけることがあります。

  • 靴下・ストッキング・タオルなどの布

  • 画びょう・縫い針・竹串
    先端がとがっているため、内臓を突き破るなどの損傷をする危険があります。

  • オモチャ・ボール
    素材や大きさなどがいろいろあるので、同じものがあれば現物、なければ写真やネットの画像などがあると参考になるので、動物病院に行く際は持っていきましょう。

  • ビニール・発砲スチロール・スポンジ・お菓子の包み紙

  • 人間用の医薬品

  • 果物や梅干しの種・トウモロコシの芯・ボタン

  • タバコ・ゴキブリなどの害虫駆除剤・漂白剤

  • 保冷剤
    多くの保冷材に含まれている「エチレングリコール」という成分が、腎不全や中毒症状を引き起こす危険があります。

  • 観葉植物
    観葉植物の中には、中毒症状を引き起こす植物があります。
    (ユリ・ポインセチア・シクラメン・チューリップ・アロエ・スイセン・ヒヤシンス・アジサイなど)

 

『どうして、こんなものを食べてしまうんだろう…』と不思議に思いますよね。

猫の舌にはザラザラした突起物(糸状乳頭/シジョウニュウトウ)が喉に向かってたくさん生えています。
それに異物が絡みついて、自然と喉の奥に入っていってしまう構造になっていることも、少なからず影響しているようです。

『飲み込みたくなくても結果的に飲み込んでしまう』ということも起きているんですね。

 

症状

誤飲によって引き起こされる症状は、何をどのくらいの量を誤飲したかや、猫の体格、体質が影響します。

症状が出始めるのに要する時間や、症状の重さも同様です。

ただ一般的には、以下のような症状を示すことが多いです。

  • 嘔吐を繰り返す
  • 食欲がない
  • 元気がない
  • お腹を触られるのを嫌がる
  • 下痢をする
  • よだれが出る

 

異物誤飲した時に飼い主がやるべきこと

『異物を飲み込んだかもしれない』と思ったら、一度落ち着いて周辺を確認してみましょう。

もしかしたら、勘違いでどこか周りに落ちているかもしれません。

飲み込むところを目撃した場合や該当する物が見つからず飲み込んだと思われる場合には、すぐに動物病院へ電話して相談しましょう。何か応急的にできることがあるかもしれません。

この時、自分の判断で吐かせたりするのは危険です。飲み込んだものによっては、吐かせると危険なものもあります。

 

動物病院へ行く時には、飲み込んだものと同じものか、一部だけを飲み込んでいる場合にはその残った部分、包装されているような物であれば成分表示のある袋や箱などの入れ物も一緒に持参しましょう。

獣医師さんがそれを確認することで、どういった形状でどれくらいの量、どういった成分のものを飲み込んだかをより具体的に把握し、治療方針を決めることができます。

 

異物誤飲は、時間との闘いです。

時間が経てば経つほど治療が難しくなったり症状がひどくなったりして、命の危険を伴う場合もあります。

 

異物誤飲を一度でもしたことがある猫は、何度も繰り返すことが多いです。

そのため、飼い主さんが異物誤飲に慣れっこになってしまうケースもあります。

『この前も普通に便と一緒に出てきたから(すぐに吐き出したから)、今回も大丈夫だろう』という考えは、非常に危険です。

万が一取り返しのつかないことになった場合、猫を無駄に痛い目に遭わせることになってしまいます。

異物を飲み込んだ可能性があれば、必ずすぐに動物病院に相談しましょう。

 

病院での検査方法

  • 触診

  • レントゲン検査(X線検査)
    金属などといったX線を通しにくい異物の場合にはこの検査で確認することができますが、X線を通してしまう異物の場合には診断が難しいです。

  • バリウム造影検査
    バリウムなどの造影剤を使うことで、胃や腸の運動状態や胃腸での造影剤の流れ方から異常を確認することができます。

  • 超音波検査(エコー検査)
    猫にはバリウムを飲ませることが難しいケースも多いため、超音波(エコー)での診断が有効です。

 

治療

 治療方法は、飲み込んだ異物の種類や量、飲み込んでから経過している時間によって変わってきます。

 

催吐(さいと)処置を行う

確実に誤飲していて、まだ飲み込んでから間もないため食道や胃に異物がある(目安としては飲み込んでから3時間以内)、かつ吐かせてもいい異物の場合は、薬で吐かせます。

催吐剤には様々なものがありますが、トラネキサム酸が使用されることが多いです。

アポモルヒネは猫には使用できません。

引用元:北里大学 獣医学部

【催吐のメリット】

猫の身体への負担が少なくて済む

飼い主さんの費用面の負担が少なくて済む(1万円以内)

【催吐のデメリット】

犬は嘔吐する確率が高いが、猫の場合は催吐剤で嘔吐する確率が低く、半数以上が嘔吐を我慢してしまう

 

内視鏡(胃カメラ)を使う

誤飲している可能性が高く、まだ飲み込んでから間もないため食道や胃に異物がある(目安としては3時間以内)、かつ吐かせることができない場合には、内視鏡を使って異物を取り出します。

内視鏡の前に、血液などの身体検査をして問題がなければ、全身麻酔をかけます。

内視鏡での作業自体はスムーズにいけば5分ほどで、麻酔から覚めるのに30分ほどかかります。

胃の中に食べ物がたくさん入っている場合や異物が掴みにくいものだったりすると、時間がかかります。

【内視鏡のメリット】

猫の身体への負担が比較的少なくて済む(日帰り~入院3日間)

飼い主さんの費用面の負担が比較的少なくて済む(3~5万円程度)

【内視鏡のデメリット】

必ず取り出せるとは限らない(食べ物がたくさんあって見つけられなかった、内視鏡では掴めなかったなど)

身体が小さすぎると内視鏡のスコープが入らないため、処置できない

 

開腹手術を行う

飲み込んでから時間が経過していて既に異物が腸にまで達している、または内視鏡では取り出せない異物の場合には、お腹を開き取り出します。

手術前に、血液などの身体検査をして問題がなければ、全身麻酔をかけます。

手術自体はスムーズにいっても20~30分はかかり、麻酔から覚めるのに1時間ほどかかります。

【開腹手術のメリット】

開腹手術をしても、異物を取り出せない状況になることはほぼない

【開腹手術のデメリット】

猫の身体への負担が大きい(入院3~7日間、手術後数日間は絶食や流動食になる)

飼い主さんの費用面の負担が大きい(10~20万円以上)

 

胃洗浄を行う

液体や中毒症状が出る可能性がある異物を誤飲した場合、胃洗浄を行うこともあります。

既に中毒症状が出ている場合には、解毒剤の投与や点滴も行います。

 

異物誤飲は、飼い主さんが認識していないことも多いです。

猫が体調を崩して診察にきて初めて異物が見つかったり、検査や開腹をしてみたら飼い主さんが認識していた異物以外のものが見つかったりするケースも多いです。

 

飼い主さんが異物誤飲を把握していない場合には、発見が遅れ、症状がどんどん進んでしまいます。

猫は思いもよらない行動をとることも多いです。

猫の行動にできるだけ注意を払うよう心がけましょう。

 

予防と対策

猫の誤飲は、基本的に人間の赤ちゃんにするのと同じような対処をすれば、それが予防に繋がります。

  • 猫が口にしそうな物、興味をもちそうな物は、猫が届く場所、見える場所に置かない

  • オモチャの取り扱いには注意する
    オモチャは、飼い主さんの目の行き届くところで遊ばせる。
    オモチャは出しっぱなしにせず、遊び終わったら猫が届かない場所に片づける。

  • 時と場合に応じて、猫をゲージに入れることも検討する
    飼い主さんの目が行き届かない時(外出中・睡眠中など)だけでも、ゲージに入れるようにする。

 

子猫であればあるほど、異物誤飲の発生率が高いです。(下図参照)

子猫の時は特に、ゲージに入れることで事故の発生リスクを極力抑えることに繋がります。

引用元:アニコムホールディングス株式会社

異物誤飲は、飼い主さんが気をつけていれば防ぐことができます。

日頃から、猫が誤飲するリスクを極力取り除くよう心がけましょう。

 

 

 

 

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