お久しぶりです!!
いかがお過ごしでしょうか?
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、不要不急の外出を控え家で過ごしている人が多いかと思います。
今しばらくの辛抱ですね。
早く終息して欲しいなぁ。
ところでこのウイルス、猫にも感染するって知ってました?
「猫にとって新型コロナウイルスがどのくらい危険なのか?」を調査してみました。
新型コロナウイルスが猫に感染した例
新型コロナウイルスが猫に感染したという報告が複数の国からあがっています。
報道や論文を見てみましょう。
アメリカ・ニューヨーク州で猫2匹が感染
米農務省と疾病対策センター(CDC)は22日、ニューヨーク州で猫2匹が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示したと発表した。
米国でペットへの感染が確認されたのは初めて。
農務省とCDCの共同声明によると、2匹は、米国における流行の中心地となっているニューヨーク州内の別々の地域で飼われていた。
「2匹とも軽度の呼吸器疾患を発症しているが、完治する見込み」だという。
うち1匹については、発症前に飼い主が新型ウイルス検査で陽性と判定されていた。
2匹目については、飼育されている家庭で新型ウイルスの感染者は確認されていない。
2匹目の感染経路について、家族の中に軽症または無症状の感染者がいてその人から感染した可能性、または屋外で感染者と接触した可能性が考えられ、同じ家庭で飼育されていたもう1匹の猫は発症していないという。
また、ニューヨーク市の動物園ではトラ5頭、ライオン3頭にも感染したことが分かっています。
ベルギー・リエージュ州で猫1匹が感染
The veterinary medicine faculty in Liège reported that a coronavirus infection has been determined in a cat. The cat lived with its owner, who started showing symptoms of the virus a week before the cat did,” said professor Steven Van Gucht.
飼い主さんがコロナウイルスに感染した1週間後に、飼い猫が下痢・嘔吐・呼吸困難の症状を示し始めました。
猫の便を調べるとウイルスが検出されたとのこと。
ただし、症状とウイルスの因果関係は分からないと研究チームは報告しています。
他の病気が原因で症状が出た可能性もありますからね。
武漢では14.7%の猫が感染
we investigated the infection of SARS-CoV-2 in cats by detecting specific serum antibodies. A cohort of serum samples were collected from cats in Wuhan, including 102 sampled after COVID-19 outbreak, and 39 prior to the outbreak. 15 of 102 (14.7%) cat sera collected after the outbreak were positive for the receptor binding domain (RBD) of SARS-CoV-2 by indirect enzyme linked immunosorbent assay (ELISA). Among the positive samples, 11 had SARS-CoV-2 neutralizing antibodies with a titer ranging from 1/20 to 1/1080. No serological cross-reactivity was detected between the SARS-CoV-2 and type I or II feline infectious peritonitis virus (FIPV). Our data demonstrates that SARS-CoV-2 has infected cat population in Wuhan during the outbreak.
出典:SARS-CoV-2 neutralizing serum antibodies in cats: a serological investigation
こちらの論文は中国の研究者たちが発表したもの。
簡単にまとめると、
武漢で感染が拡大した後に武漢に住んでいるネコ(コロナ肺炎の患者が飼っていた猫、野良猫、動物病院にいた猫など)102匹を検査したところ、15匹が陽性でした。
感染が拡大する前に捕獲していた39匹の猫たちは陰性でした。
感染者との接触が濃厚だった猫ほどウイルス感染強度が高く、野良猫など人との接触が少ない猫は陽性であっても強度は低かったとのこと。
つまり、「猫同士や他の動物から猫には感染していなかった。ネコに感染させたのは人間のみである可能性が高い」と推察されるそうです。
中国のハルビン獣医研究所の実験
中国の研究チームが行った実験では、新型コロナウイルスが猫同士で感染することも分かったとしている
米ピッツバーグ大学病院のジョン・ウィリアムズ医師は今回の研究について、「研究者が高濃度のウイルスを猫の鼻に噴射しており、極めて人為的だった」と解説する。
専門家によると、今回の実験は極めて非現実的な状況で実施されていた。
まず、研究チームは極端に高濃度のウイルスを、強制的に生後8カ月のイエネコ5匹の鼻孔に噴射していた。飼い猫や野良猫でさえ、これほど高濃度のウイルスにさらされることはない。実験に使われた5匹の猫のうち2匹はウイルスの増殖状況を調べるため6日後に安楽死させられ、上気道からウイルスが見つかった。
残る3匹の猫は、ウイルスに感染していない猫3匹の隣のケージに入れられた。
この3匹のうち1匹で後に同ウイルスの陽性反応が出た。残る2匹に陽性反応は出なかったが、研究チームでは、同ウイルスが飛沫(ひまつ)を通じて感染し得ることが実証されたと解釈している。ただし同ウイルスに感染した猫にいずれも症状は出ていなかった。
出典:CNN
元の論文:Susceptibility of ferrets, cats, dogs, and different domestic animals to SARS-coronavirus-2
こちらの実験では「猫同士でも感染した」と報告していますが、
現実にはあり得ないシチュエーションで行われた実験で、サンプル数も非常に少ないため、結果にほとんど意味はありません。
東大とウィスコンシン大学が猫同士の感染を確認
1辺50センチメートル~1メートルのおりにネコを2匹ずつ入れて実験した。一方のネコにだけ人から採取した新型コロナウイルスを接種して感染させ、換気のよい部屋で飼育した。
6日後には全てのおりで、もう一方のネコから新型コロナウイルスを検出し、感染を確認した。それぞれのネコは感染から5~6日たつと、ウイルスを検出できなくなった。ウイルスの量が大幅に減ったためと考えられるという。
引用元:日経新聞
東京大学とアメリカのウィスコンシン大学の共同研究です。
米医学誌「New England Journal of Medicine」電子版で発表しました。
論文タイトル「Transmission of SARS-CoV-2 in Domestic Cats」。
感染した猫3匹と感染していない猫3匹をそれぞれ3組のペアにし共同生活をさせたところ、6日以内にすべてのペアで感染が確認されました。
ウイルスは呼吸器で増殖しているのが確認されましたが、4~6日間で未検出に。24日後にはすべての猫が抗体を持っていました。
また、感染した猫には症状が出ませんでした。
実験を行った河岡義裕教授は「ネコは仲がいいとくっついてじゃれ合う。実験のような環境は実際に起こりえる」と話しています。
ネコから人に感染する可能性や、ネコが重症化する可能性は「まだ報告例がなく分からない」としています。
ハルビンの実験は非現実的なシチュエーションを作って行われたものですが、この実験は室内飼いに近い環境で行われたものです。
サンプル数が少ないものの、猫同士でも感染すると言えそうです。
猫が感染した報告例は少ない
2020年5月14日現在、猫が新型コロナウイルスに感染したという報告は上記で紹介したものだけです。
世界中でたったこれだけですから、めちゃくちゃ少ないですね。
また新型コロナウイルスが原因で猫が重症化したり、死亡したという報告もありません。
SARSのときも多くのペットが感染しましたが、症状は出ませんでした。
ペットから人へ感染した例も皆無です。
これらの報告を受けて、厚生労働省や東京都獣医師会がQ&A集を公開しています。
飼い主さんの疑問に専門家が答えています。
厚生労働省「動物を飼育する方向けQ&A(新型コロナウイルス感染症)」令和2年4月15日現在
公益社団法人東京都獣医師会 危機管理室感染症対策セクション「飼い主のみなさまへ」
アメリカの農務省やCDCなど各国の行政機関もペットの感染リスクについてコメントをしています。
どの国もどの専門家もだいたい同じことを言っています。
- 動物から人間に感染するエビデンスは皆無なので心配しなくても良い
- 人が猫にうつしてしまうことはある
- 感染の疑いがある人はペットとスキンシップしない
- ペットを不特定多数の人や動物と接触させるのは避ける
- できるだけ室内飼いする
こういった対策を取ることを推奨しています。
獣医師さんに猫の感染リスクについて尋ねてみた
私が自分で調べた限りは大丈夫そうでしたが、確認のために獣医師さんにも聞いてみました。
ミックの主治医のS先生です。
FIPについて詳しくはこちら 続きを見る
予防も治療も難しい猫伝染性腹膜炎(FIP) ~猫の病気・けが症状別対処法~
猫のすぐそばで感染者がくしゃみや咳をして、飛沫が猫の体内に入り、それが検出されているようです。発症することはまずありません。
コロナウイルスは種特異性があるので、心配しなくていいみたいです。
S先生は楽観的な感じでしたね。
まだ報告例がほとんどない時点で聞いているので、先生も質問されて困ったかもしれません。
すいません。
結論「猫の感染リスクは低いから気にすんな」
新型コロナウイルスは人間にとっては大変厄介ですが、猫にとってはほとんどリスクがないと言えそうです。
猫に感染しても発症するリスクは小さいですし、発症しても軽度。
猫同士で感染することもほとんどありません。多頭飼いしていても濃厚接触しない限り大丈夫みたいです。
とは言え、まだ未知の部分も多いウイルスなのでちょっとは注意しようって感じですね。
「毎日の手洗い・うがい」「感染者との濃厚接触は避ける」といった普通の対策をしていれば十分。
専門家たちの意見はほぼ一致しているようです。
飼い主が感染したら大問題
問題なのは、飼い主の私たちが感染してしまったとき。
「ペットの面倒を誰が見るか?」って問題があります。
預かってくれる人や家族がいれば良いのですが、一人暮らしの人が入院してしまうとヤバい。
一瞬で預け先を探さなければいけません。時間の猶予がありません。
もし預かってくれる人が誰もいなかったらペットはどうなるのでしょうか?1日~2日で退院できなかったら。
入院後に亡くなってしまったら?
こわっ。
もしもの時のために、預け先を確認しておく必要があります。
見つからない場合は、犬猫の介護施設やボランティアの保護団体に相談してみましょう。
ペット保険のアニコムホールディングスでは「新型コロナウイルスに感染した飼い主さんが入院している間だけ無償で預かる」というボランティア(#StayAnicom プロジェクト)を開始しました。
詳しくはこちら
「コロナに感染したら、大切な愛猫をどうすれば?」…だれにも頼れない時、不安にこたえるサービスが開始
やむなく動物愛護センターに持ち込んで殺処分する飼い主さんもいるようなので、悲しい結末を避けるためにも事前に相談しておきたいですね。