猫の目に白い膜のようなものがあることを不思議に思ったことはありませんか?
猫の飼い主さんなら、誰もが日常的に目にしていると思います。
白目で猫が寝ている姿はちょっとしたホラーですよね。
瞬膜を開けっぴろげにして寝るジャガー。怖すぎます。
この白い膜。『瞬膜』(しゅんまく)という名前なんです。
ここでは、瞬膜にはどんな役割があるのか、なぜ人間にはなくて猫にはあるのか、瞬膜に関わる病気とその治療法などについて、詳しく解説します。
瞬膜とは
まぶたと角膜の間にある薄い半透明の膜のことです。
多くの猫好きさんたちが、SNS上に猫の白目を向いている寝顔の写真を投稿されていますね。
面白い寝顔がいっぱいです。
一緒に暮らし始めてから知ったんだけど、猫には白い第3のまぶた(瞬膜)がある。それにしても、この寝顔はひどいなぁ笑 pic.twitter.com/OvmErDCHST
— 小夏とミニー (@mamireneko) 2016年9月7日
おはよーございます!本日は文化の日ですね⸜(* ꒳ * )⸝祝日でお休みの方もいらっしゃるのでは・・・?そんな方は!猫ちゃんと遊びましょう( ^_ゝ^)有意義な時間を過ごせますよ♬。.
あれ?銀ちゃん寝てるー♡可愛い♡ん?んん?!白目や!銀ちゃん!事務所的にアウトだぞ!! pic.twitter.com/GpHv6cB5x0
— 猫カフェ 音々猫 (@ne3ko_nekocafe) 2016年11月3日
上下のまぶたに対して3番目のまぶたということで、『第三眼瞼(がんけん)』とも呼ばれます。
引用元:プリモ動物病院
瞬膜は、まぶたと違って、猫が自分の意志では動かすことができません。
猫の目には瞬膜を動かす筋肉が存在しないためです。
眼球が傷ついたりして痛みが生じると、眼球を支えている筋肉(眼球後引筋)がけいれんし、眼球が後ろへ引っ張られることで、瞬膜が目頭から出てきます。
下痢や脱水が長く続いたりした時にも、クッションの役割をしている脂肪(球後部脂肪)がやせてきて目がくぼみ、瞬膜が目頭から出てきます。
このように身体に何かしらの不調がある時に、瞬膜が目の表面に出てくることから、健康状態のバロメーターにもなっています。
瞬膜の役割
瞬膜の役割は大きく3つあります。
- 眼の表面を保護する。
- ワイパーのように、角膜の表面に涙を広げたり、異物を取り除いたりする。
- 瞬膜の付け根裏側にある瞬膜腺(第三眼瞼腺)では、涙腺と同様に涙を作っていて、涙全体の30~50%が瞬膜腺で作られます。
人間は何度もまばたきをすることで、目の保湿をしたり異物を取り除いたりしますが、猫はまばたきをあまりしません。
その代わりに瞬膜があるのです。
これは鳥や爬虫類なども同じでみんな瞬膜を持っています。思い返してみれば、人間ほどまばたきをする生き物って少ないですよね。
トリや両生類、ハ虫類の瞬膜画像。え。ネコやとか犬までもあんの!? http://t.co/fjmtq6A7D2 pic.twitter.com/r8MCRtVotO
— 土屋アソビ (@wtbw) 2014年7月1日
チェリーアイ(瞬膜腺突出)とは
ここからは、瞬膜に関する病気の中でも代表的なものの一つ、チェリーアイについて解説します。
【里親募集】バーミーズ♂チャーリー
感染症により瞬膜吐出との事で保護されたおチビさん🍀おめめとカラーが痛々しく見えます😢が、ご飯はしっかり食べてくれます‼🍚
遊びたい&甘えたい盛りで、人が近づく度ミーミー鳴いて擦り寄ってきます(´;ω;`)
早くチャーリーのママが現れますように🌠 pic.twitter.com/fv4ZMz2qQo— 保護猫&金魚カフェ マンチカン 鶴橋店 (@manchiTuruhashi) 2016年10月27日
痛々しいですね。早く治りますように。
瞬膜腺(第三眼瞼腺)は、通常であれば瞬膜の内部にありますが、なんらかの原因で炎症をおこすと、扁桃腺のように赤く膨れ上がって、目頭に収まりきらずに反転して飛び出したままになることがあります。
その状態が、まるでサクランボが目頭から出てきているように見えるため、『チェリーアイ』と言われます。
犬ほどではありませんが、猫もチェリーアイを発症することがあります。
犬はチェリーアイになっていてもあまり気にしていないことが多いのですが、猫は痛みや不快感を感じて、目を気にしてこすってしまい、二次的に結膜炎や角膜炎を併発することがあります。
また、片側の目にチェリーアイが発症すると、もう一方の目にも発症する傾向にあります。
5歳以上の年齢で瞬膜腺が飛び出ているように見える場合には、チェリーアイではなく、腫瘍の可能性が高いです。
チェリーアイになる原因
チェリーアイは、2歳以下の若い年齢で発症することが多いことから、遺伝的な要因があると考えられています。
瞬膜腺を固定している線維性結合組織が先天的に欠損している、あるいは未発達なために、飛び出てしまいやすくなっているのです。
また、結膜炎やブドウ膜炎などの炎症や外傷により続発的に発症することもあります。
慢性的な結膜炎になっている場合には、隠れ瞬膜腺突出になっていることもあります。
チェリーアイの治療法
初期で軽度の場合
瞬膜を引っ張って元の場所に戻し、その後は、抗炎症剤などの点眼薬による内科療法を行います。
全身麻酔の必要がないので、高齢の猫のように麻酔がかけられない猫にも可能な処置です。
猫に対する負担も少なくすみますし、費用も最小限にとどめることができます。
一旦は瞬膜を内側に戻すことができ、炎症もある程度軽減することができますが、再発したり、それほど効果がなかったりすることが多いので、根本的な解決にはなりません。
再発を繰り返している、または炎症がひどい場合
1980年以前は、再発しないため瞬膜腺を切除し摘出する方法が主流でしたが、瞬膜腺は涙を作る役割があるため、手術後に慢性的なドライアイ(乾性角結膜炎)を発症するケースが多発しました。
そのため、最近ではこの方法をとることはほとんどなくなりました。
現在は、瞬膜腺を整復し、温存する方法が主流になっています。
その手術法としては、瞬膜腺を引っ張って元の場所に縫い付けるアンカー法や、瞬膜の裏側に瞬膜腺を埋め込むポケット法などがあります。
どちらの手術法であっても、再発する確率は10~30%ほどになります。
ただ、瞬膜が飛び出してから時間が経っている場合には、再発する可能性が高くなります。
また、こういった方法では、全身麻酔が必要で、片目で5万円ほどの手術費用がかかります。
手術を行わずにそのまま放置していると、ドライアイ(乾性角結膜炎)や慢性的な結膜炎になってしまったり、瞬膜の中にある軟骨が変形し整復することが難しくなったりします。
症状に気づいたら、早めに手術するようにしましょう。
ここまで、『瞬膜』と、それに関連する病気『チェリーアイ』について、見てきました。
瞬膜は人間に備わっていないものなので、どのくらい大事な機能を持っているか分からず、安易に切除していた過去もあったようですが、なくなって初めてその重要な役割に気づいた、ということですかね。
先ほども触れましたが、瞬膜は健康状態を表すバロメーターでもあります。
日々、猫の目を見て、瞬膜の状態をチェックすることで、猫の体調の異変に早く気づいてあげましょう。
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