リンパ腫が発見されて即日入院となったミックですが、退院してからはけっこう元気です。
ただ退院した翌日は、再びホルネル症候群っぽい症状が出て心配しました。
退院した日は左右の瞳孔の大きさが異なる症状は見られなくなっていたのですが、退院した翌日はこんな感じ。
左側の顔だけ筋肉が弛緩しているように見えます。顔が歪んでいますよね。
ときどき左目を閉じてしまいます。
ミック自身も気になるみたいで左目をこすろうとすることもありました。
免疫力を抑えているときに角膜を傷つけるのは良くないので、一時的にエリザベスカラーをつけたり、手でやめさせたりして対応しました。
元気もなく、何となく苦悶の表情で寝ているように見えるミック。
また病院に行く必要があるかもと心配しましたが、幸いにしてこの症状は1日で治まり、退院から3日目には完全に元の顔に戻りました。
ホッと一安心。
私たちの心配をよそに、退院して2日が経つとミックは急に元気になってきました。
昨日までが嘘のよう。
遊んでほしい時のおねだりポーズ。
朝早くから「遊ぼうよ!!」と鳴いて騒ぐし、15分くらい遊んであげても「まだまだ!!」とずっとねだり続けます。
ちょっと元気過ぎ。
リンパ腫に蝕まれている猫とは思えません。
食欲もありますし、水もよく飲みます。おしっこもよくします。
入院前とはまるで別人ならぬ別猫。
これはさすがに飲んでいる薬の副作用だろうと思いました。こいつドラッグやってハイになってやがるなと。
※覚せい剤なんて飲んでませんよ(笑)
現在飲んでいる薬は以下の3つ。
- アモキシシリン 10mg/kg B2D
- ファモチジン 0.5mg/kg B2D
- プレドニゾロン 2mg/kg S2D
アモキシシリンは抗生物質で、副作用は下痢、軟便、食欲後退など。
(参考サイト:農林水産省 動物医薬品検査所 アモキシシリン)
ファモチジンはステロイドによる胃潰瘍の予防ためのお薬で、副作用はいろいろ。
(参考サイト:Famotidine(Pepcid)for Dogs and Cats)
プレドニゾロンはステロイドで胸水や腫瘍を抑えるためのお薬。副作用は食欲増進、多飲多尿など。
ミックが元気すぎるのはどうもプレドニゾロンの影響っぽい…
せっかくなのでステロイドについてもう少し調べてみました。
ここからは担当の獣医師さんから直接伺ったお話と、ネットで補足的に調べた内容を紹介します。
猫のリンパ腫治療に使われるステロイドってどんな薬?
猫のリンパ腫の治療にはステロイドがよく使われます。
ステロイドは即効性があり、ほどんどの患者に効果が出て、しかも価格が安いのが大きなメリット。
ステロイドにもいろいろな薬があって、効果の持続時間や強さが違います。
プレドニゾロンの効果は1日。強さは4。
トリアムシノロンの効果は1~2週間。強さは5。
デポ・メドロールの効果は1~3ヶ月。強さは5。
デキサメタゾンの効果は1~2日。強さは25。
(参考サイト:猫はステロイド剤に強い?猫に多いアレルギーの病気はこの3つ! 猫壱)
様々な獣医師さんが書いた記事を読むと、
ミックも服用しているプレドニゾロンが抗がん剤治療で使われるスタンダードなお薬という感じでした。
猫はステロイドの副作用に強い
ステロイドと言えばすぐに連想するのが「副作用」ですよね。
実際にステロイドは副作用が出やすい薬で、人間の治療に使う場合でも動物の治療に使う場合でも注意が必要です。
外用であれば重篤な副作用はほとんどありませんが、内服は安易に使えるものではありません。
ただし副作用の出やすさは動物によって異なります。
副作用の出やすい順としては、人間>大型犬>中・小型犬>猫で、人間に比べると猫はかなり出にくいそうです。
どんな副作用が出るのか
ステロイドを短期間投与した場合の副作用は以下の通り。
- 食欲が増す
- 利尿作用があり、おしっこによく行く
- おしっこが出るので、水分を補うために水をよく飲む
- 胃が荒れることがある(場合によっては嘔吐、下痢)
- 免疫力が低下するので感染症にかかりやすくなったり、傷が治りにくくなる
ステロイドを長期間投与した場合の副作用。
- 肥満になる
- 筋肉が落ちる
- 脱毛が起こり、皮膚が薄くなる
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍になりやすい
- 肝障害が起こりやすい
- 副腎機能が低下する
- 糖尿病の症状が出てくる
- 急に投薬を中止するとアジソン病になることがある
(参考サイト:本郷どうぶつ病院)
いろいろな副作用がありますが、少量を短期間使うだけあればそれほど心配はいりません。
リンパ腫の猫の場合は食欲が落ちることもあるので、副作用で食欲を出させるのも狙いのひとつ。
しかし長期間使うと命に関わる副作用が出ることもあるので、体調を観察しながら慎重に用いる必要があります。
リンパ腫にステロイドは利くの?使った方がいいの?
効果の大きさには個体差があるものの、少なからず効果が出ることがほとんどです。
リンパ腫の細胞はプレドニゾロンによく反応するため、抗がん剤として使われます。
短期間の使用であれば、ステロイドの副作用によってリンパ腫による食欲不振の改善や元気を出すことも可能です。
ミックの場合はよく効いた方だと獣医師さんから言われました。
また、ミックにリンパ腫が見つかった時には胸水が溜まって呼吸困難になっていたので、即効性のあるステロイドが必要でした。
ミックはステロイドによって最初の山場を越えることができたと言っても過言ではありません。
猫の前頭部節外型リンパ腫へのステロイド単独化学療法の効果 レオどうぶつ病院腫瘍科ブログ
上記の病院のブログには、ほぼステロイドのみの治療で9か月間生き延びた猫ちゃんの例が紹介されていました。
患者さんの症状に合わせて上手に使えれば、他の抗がん剤を使わなくてもこのくらい頑張れるということですね。
ただ、ミックのケースも、この病院ブログの猫ちゃんのケースも、あくまでも一例でしかありません。
個々のケース毎に獣医師さんが適切に診断し、その意見を聞いた飼い主さんがどうしたいのかが全てです。
愛猫のためにも、すこしでも知識を入れて正しい判断ができるようにしたいですね。
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