タイトルの通りです。
私たちの家族の一員、臆病者で、紐で遊ぶのが大好きなミックが、縦隔型リンパ腫と診断されました。
縦隔型リンパ腫とは、簡単に言えば「胸の癌」です。
飼い主としてとてもとても辛いですが、
ミックの経験がこの日記を読んでくれている飼い主さんと猫ちゃんに役立ってほしいと願い、記録として書き留めておくことにしました。
リンパ腫の初期症状
後になって思えば、症状の始まりは「食べ方に変化が起きたこと」でした。
しかし当時は気付けませんでした。
ミックはもともと食べるのが下手な猫です。
キャットフードをポロポロと落としてしまったり、ほんの小さな魚の切り身がうまく食べれなかったり。
キャットフードが口の変なところに入り込んでフガフガしていることもたまにありました。
「こんなに食べるのが下手だと野生では生きていけないんじゃないか?」なんて、嫁さんと笑いながら話をすることがあったくらいです。
しかし、腫瘍が見つかる2週間~3週間前からでしょうか。
いつもとはほんの少しだけ違うフガフガをするようになりました。
ちょっとだけ苦しそうにも見えました。
でも、元々食べるのが下手な猫なので、いつものことかな?と私は思いました。
嫁さんは私よりも心配していて「ちょっと変じゃない?」と訝しげに見ていました。
そんなある日。
キャットフードを食べているミックがまたフガフガ。食べるのを途中で止めます。
そして数分後、食べた物を吐きました。
嫁さんはとても心配していたのですが、私は嫁さんほど心配をしていませんでした。
ミックは元々食べるのが下手ということもありますし、食欲はいつも通りあるし、ジャガーと遊びまわるのもいつも通り、便も快調だったからです。
食べ辛そうということ以外に、おかしな点は何もなかったのです。
しかし私の楽観は完全に間違っていました。
獣医師に相談してみた
心配になった嫁さんは獣医師さんに相談しに行きました。
一通りミックの症状を伝えると、
獣医師さんも深刻には考えていませんでした。とりあえず簡単な対処をしてみたという感じです。
試供品をもらってきた嫁さんは、さっそくミックにあげてみました。
食べる食べる。粒が小さいので食べやすいのか、すんなり完食。
やはり心配は杞憂だったのだと私は思いました。
これが2018年2月17日の出来事です。
ミックの瞳孔に異変!!
翌日の2月18日。
私が何の気なしにミックの顔を見ると、瞳孔の大きさが左右違います。
右目はいつも通りでしたが、左目の瞳孔が小さくて、左目だけが光に対する反応が少し弱かったのです(瞳孔不同)。
私は嫌な予感がしました。
瞳孔に異変が起きるというのは視神経に異常があるはず。
食べ辛そうにしていることと合わせて考えると、ひょっとして食道付近に腫瘍ができているのかも…。
そう直感しました。
思い違いだったとしても明らかに異常事態なので、すぐに病院に連れて行きました。
獣医師の診断は「緑内障の疑い」
獣医師さんにミックを診てもらうと、何らかの目の病気を疑っていました。
目の状態を観察したり、ペンライトで光を当てて瞳孔の収縮反応を確認したり、眼圧を測ったりしました。
眼圧に関しては正確な計測ができませんでした。
病院嫌いなミックが興奮状態で騒いでいたので、通常よりも高い数値が出ている可能性が高いためです。
獣医師さんは診断が難しいという様子で、
そのときにもう一度診察してもらった方が確実かもしれません。
では、来週予約をお願いします。
とりあえず予約を入れました。
食べ辛そうにしているのが気になっていたので、それも尋ねてみました。
すると、即答で、
ということで、胸部の検査は何もしませんでした。
この獣医師さんの診断では緑内障の疑いがあるということでしたが、猫の目の病気は診断が非常に難しいので眼科の専門医にもう一度診てもらいましょうという結論になりました。
料金は6264円。
今になって気づきましたが、眼圧測定はちゃんとできなかったのに料金は取られてますね。
気休めの意味しかない目薬も意外と高い…。
この日はこれで帰宅し、ミックの様子を見ることに。
気休め程度に目薬(ファルキサシン)だけもらったものの、原因は分からず、治療は何もしてないのと同じです。
ミックは病院でストレスを非常に受けて疲れたのか、すぐに寝てしまいました。
ミックの呼吸がおかしいこと気づく
2月19日。
朝は元気に紐で遊んでいたミックですが、昼以降はずっと寝っぱなし。
あまり甘えてくることもありません。
ちょっと運動量が少ないことが気になります。瞳孔の大きさも左右違うまま。
ご飯はウェットと子猫用キャットフードを混ぜたものを与えたら、ちゃんと食べてくれました。
2月20日。
この日は朝に「紐で遊んで」とミックがねだってきたので遊んであげたのですが、いつものように紐を追いかけてきません。
ちょっと動いたらすぐに座ってしまいます。
いつものように大ジャンプしたり、どこまでもスーパーダッシュで追いかけてきたりしません。
明らかに運動量が少ない。
こんなことは今までなかったので、体調が悪いのは間違いないです。
相変わらず瞳孔の大きさも左右違いました。
眼科の専門医さんに診てもらうまで様子見するつもりでしたが、
「もしかしたら容体が急変するかも…」
そう感じていたのでミックの様子には1日中注意を払っていました。
16時。
いつもは昼寝を終えたミックとジャガーが活動的になる時間帯です。
ミックは寝ていた椅子から降りると、あおむけに寝ころびました。
たまにやる可愛い仕草です。
いや、でも今日のはちょっと違う。呼吸が違う。
お腹じゃなくて、肋骨が大きく上下しています。腹式呼吸ではなく胸式呼吸をしている感じです。
「ミック?体調悪いの?」
ミックに話しかけて体を撫でても、あまり反応しません。
いつもなら甘えてくるはずなのに…。
トイレに自分で行ったり、椅子に軽くジャンプして乗ることはできます。
しかしすぐに寝込んでしまいます。
この症状は絶対ヤバイ…。目の病気なんかじゃない…。
確信した私はすぐさま病院へ連れて行くことにしました。
レントゲン検査で胸部に腫瘍が発見される
私たちがかかりつけにしている動物病院は獣医師さんが10人もいるような大きめの病院です。
この日の午後は手術のため休診でしたが、電話をかけて事情を話すと診てもらえることになりました。
この日、診てくれた獣医師K先生は先日に見てくれた方とは別の先生。
優しそうな目をしたイケメンの若い先生です。
これまでの状況をすべて伝えるために、
食べ辛そうにしていたことから、瞳孔が左右非対称になったこと、今日の呼吸がおかしいことまで一から説明しました。
K先生は瞳孔に光を当てたチェックや検温(39度)など一通り様子を診ると、
ミックの全身状態を詳しく調べることになりました。
その結果。
血液検査や消化器官のエコーでは大きな問題は見つかりませんでした。
少し膀胱炎の疑いがあるとされたものの、多飲頻尿などの症状は見られないためまあ大丈夫だろうと。
レントゲン写真にはミックの症状の原因と思われるものが映っていました。
肺と心臓付近に大きな白い影があったのです。
K先生はレントゲン写真を見ながら説明してくださいました。
腫瘍にもたくさんの種類があるのですが、現時点ではリンパ腫が疑われます
マジか…。
ずっと抱いていた嫌な予感が的中してしまいました。
マジかよ、細胞を取るのもまたリスクがあるのかと愕然。
しかし調べないと今後の治療方針も決まらないということなので、K先生の腕を信頼して任せることにしました。
検査が終わるまで待っている間、ちょっと泣きそうでしたが、人前なので男は我慢。
まさかこんなことになるとは。
ただここで感情的になっても意味がないので、現状の理解と今後の治療のことを考えていました。
それから30~40分ほど待ったでしょうか。
ようやく検査が終わりました。
そういって、顕微鏡で細胞を拡大した画面を見せてくださいました。
K先生はレントゲン写真以外にも顕微鏡の画像、エコー画像、参考書や検査の説明書など、さまざまなものを使って丁寧に説明してくださいました。
ただ私たちとしてはちゃんと聞いているつもりでも、どこか信じられない気持ちです。
リンパ腫だけでも想定外なのに、猫白血病ウイルスに感染していたなんて晴天の霹靂。
検査はしたことがなかったですが、完全室内飼いなので我が家で感染する可能性はほぼ0%です。
一体どこで感染したんだ…。
考えられるのは我が家に来る以前。動物愛護センター、あるいは愛護センターに来る以前の可能性が高いです。
ミックが感染しているとなると、まさかジャガーも…。
ジャガーも100%感染してるなぁ…
もう最悪です。
普段の生活を考えると、ジャガーが感染している可能性は100%。
まあ、ジャガーも感染しているなら隔離する必要はないので一緒に暮らせますけど。。。
入院して、ステロイドを使って胸水を抑える治療をしながら経過を見るのがベストだと思います。何か急変が起こっても病院ならすぐに対応できますし。
胸水に関してはおおよそ一週間後くらいまでには止まると思いますよ。状態が良ければそこで退院できると思います。
こうしてミックは即日入院となりました。
この日の診療費は39420円。
入院費は1日分だけなので、ここから費用はもっと膨らんでいきます。
しかし、まさかここまで酷いことになっているとは…。
K先生の解説によるとリンパ腫は治療を行っても2年後の生存率は10%。何も治療を行わなかった場合は残り寿命の中央値が7ヶ月。
1歳10か月と若いこと、猫白血病陽性のことを合わせると、ミックに残された命はさらに短いかもしれません。
もちろん統計の話なので、同じ状況から長く生きる猫もいます。
希望を捨てているわけではありません。
しかし厳しい現実を受け入れる覚悟も持たなくてはならないでしょう。
病院から帰宅すると私は涙が止まらなくなりました。
もっと早く気づいてあげられていれば…。
まだ産まれてから1年10か月しか経ってないのに。
食事にも気をつけて、室内飼いだけど十分な運動もしていたし、健康的な生活を送っていたのに。
ミックは何も悪いことをしていないのに、なんでこんな目に…。
2匹の猫と嫁さんと、飼い猫の平均寿命の10年間普通に暮らしたかっただけなのに。
10年一緒に暮らすだけのことがこんなに難しいのか…。
いろんな感情が湧き出てきて、人生で経験したことがないくらいに泣きました。
とにかくミックが可哀想で。
父親が亡くなった時よりも泣きました。
私がもっとも反省したことは、最初の異変が起きたときに軽い症状だからと思って甘くみてしまったこと。
嫁さんは心配していましたが、私は楽観していました。
それは大間違いでした。
動物が症状を見せたときには、すでに病気がかなり進行していることが多いです。
ミックはまさにそのパターンです。
私も頭では理解していたつもりだったのに、現実には対応できませんでした。
もし猫を飼っている方がこの記事を読んでいたら、ちょっとした変化を見つけたときには決して楽観はしないでください。
猫が若くても関係ありませんから。
ミックのように命に関わる大きな病気が隠れているかもしれません。
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緊急入院中の治療内容と経過。瞳孔不同はホルネル症候群と診断されました。
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